固定観念を打ち破ってみよう

着物が敬遠される理由の一つに挙げられるのが、なんといっても「決まりごとが多い」ということと、そこから「堅苦しい」というイメージができてしまっていることではないでしょうか。

しかし、洋服と同様に、着物も時代とともに大いに変化していっていいものであり、また変わっていくほうがより今の時代に即したファッションとなっていけるのではないかと思います。

今回は、着物がより現代に即した服装に近づく着こなし方をするためのご提案です。

衣替えは旧暦で

旧暦(太陰暦)は、今使われている新暦(太陽暦または西暦)とは1ヶ月ほど後ろにずれます。つまり、旧正月は今の2月上旬ぐらいにきて、桃の節句は4月、秋は10〜12月、冬は1〜3月というようにずれるわけです。しかし、それをそのまま今の新暦で10月1日から衣替えをして袷を着るとまだ暑いのです。かといって7月半ばまで単衣を着ているのもまた暑すぎます。つまり、太陽暦が着物の生活実感と合っていないのです。

今ではヒートアイランド現象などもあるので、4月から10月いっぱいまで単衣でOK、あるいは本人が寒くさえなければいつでもOKというように、単衣の時期をもっと長くしてもよいのではないでしょうか。

もっと半幅帯・細帯・付け帯の多用を

着物初心者の最大のネックは、着物の着つけよりむしろ帯結びです。しかし、半幅帯や細帯なら、背中が楽でありつつ、結び方によっては可愛らしく華やかな見た目になり、帯枕もいりません。さらに、帯揚げや帯締めはアクセサリーとしてとらえていればいいのです。これは、いろいろな先駆者の方々が主張・唱導してきたことなのですが、なかなか一般化しません。

しかし、付け帯にするだけでもうんと楽になるし、後ろをただ背負うだけのお太鼓まで形作っておけば、これもずいぶん違います。呉服屋さん側は、切ったら帯の値打ちがなくなると考えるようですが、長い帯を結べないからといって死蔵してしまうより、付け帯にしてどんどん結んで使うほうが帯も本望ではないでしょうか。

外国人の目には、あの「背中の大きなクッションのようなもの」がとても異様に映るようですが、それが半幅帯になれば、おしゃれな幅広のベルトのようなものとして、一層着物への好感度が上がるのではないかと思います。

従来の「着物の常識」の枠を外す

色衿・色足袋・帽子をかぶる・アクセサリーをつける・手袋をするなど、最近では着物にもいろいろな着こなし方が出てきましたが、これらの定着を阻んでいるのは、従来の「着物はこうでなければダメ」という考え方です。

しかし、今ではこれだけさまざまなスタイリングが出てきている中でそのように抑えこんでしまうと、着物に親しみたい若い人たちを遠ざけてしまうことにもなりかねません。正式な場面と、あくまでも王道にこだわりたい人はそれでいいのですが、あまりにも過去の常識の枠に入れ込もうとすると、着物の可能性を狭めてしまいます。

変える側の勇気、受け入れる側の忍耐

もちろん、自由に遊ぶほうも知識やセンスは必要だし、やるからには自己責任を伴います。また、あまりにも変なものはおのずと淘汰されていきます。それでも、この変えていく側の勇気と、それを受け入れていく側の忍耐によって、従来の着物に対する固定観念が少しでも打ち破られていけばと思うのです。