目に青葉、團菊祭と初鰹

「目に青葉、山ホトトギス初鰹」とは、初夏の訪れを喜ぶ俳句ですが、この山ホトトギスの部分を、団菊祭と置き換えても銀座界隈の人なら、なるほどと納得してもらえるのではないでしょうか?

東京・歌舞伎座の5月興行といえば、もう、團菊祭と決まっています。

江戸時代から現代までの、歌舞伎界のカリスマスターと言えば、九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎です。クダイメと言えば團十郎、ゴダイメと言えば菊五郎と決まっています。

九代目は明治20年に初めて天覧歌舞伎を演じた人で、現在歌舞伎俳優が芸能界で格上的な扱いを受けるのは、九代目の功績といっても過言ではありません。

同時代に同じように時代を席巻した俳優が5代目尾上菊五郎です。とにかく、水も滴る美形で舞台上でのアドリブの面白さでも有名でした。

両方とも、大名跡ですから共演する機会は少ないのです。昭和に入ってから、この二人の功績をたたえようと催されたのが團菊祭です。團菊祭のお決まりの演目と言えば勧進帳です。勧進帳は、豪放で男性的な弁慶と、繊細で情け深い富樫という二つの際立ったキャラクターが出てくるので、立て役の團十郎と立女形の菊五郎が主役級で共演するのにうってつけの演目なのです。

今年の、團菊祭では、弁慶が灯台の市川海老蔵、富樫が当代尾上菊之助、ともに近い将来團十郎、菊五郎を襲名することがわかっている、團十郎、菊五郎の御子息たちです。二人とも、30代で美形、美声です。今年は若々しいはつらつとした勧進帳になりそうです。

やがては、この二人が重厚で渋い勧進帳を團菊祭で披露される日が来るはずです。

(ライター : n.m