仕付けのお話

仕付けのお話

ここでいう「仕付け」は、裁縫で縫い目や折り目を正しく整えるために仮にざっとあらく縫うという意味の仕付けで、「躾」とは違います。

さて、本来の仕付けの目的は、仕立ててすぐの着物に正しい折り目を付けたり、縫い目を保護するためです。普通は着る時に取ってしまいます。仕付けには、色々な考え方や習慣があって、何がいいとは簡単に言いきれないもののようです。

花柳界では

仕立て下ろしの着物の仕付けは取らずに着る習慣があるようです。

仕付けが付いた着物を着ることは、着物を買ってくれたお客さんへの御挨拶の意味があるそうです。そして、着物を買ってくれたお客さんに仕付けをとってもらうのです。

ホステスさんたちの間で仕付け付きの着物を着るということは、その着物が借り物ではないという意味にもなるそうです。また、仕付けをつけたまま着物を着て行ってお客さんに取ってもらい、そのお客さんに着物代金を出してもらう習慣もあるようです。

芸者さんやホステスさんに着物の仕付けをとるようにお願いされたら着物代を出す覚悟が必要だという訳です。

一般的には

仕付けは基本的には取って着るのが常識です。

花柳界で仕付けを付けたまま着物を着る習慣があることから、昔は、花柳界と区別するためにも仕付けをとる習慣は徹底していたようです。

今は人によっては、仕立て下ろしの一回目だけは仕付けをとらない人もいます。

もし、お友達が仕付けを取らずに着物をきていたら、まずは、新品のあいさつ、「仕立て下ろし?素敵ねえ」って感じのリアクションはした方がいいかもしれません。

関西では、散髪したてや新調した服を着た人(目下か同等)と会った時には「お初三日!」と言ってポンとたたく習慣がありました。これ、単なるお遊びではなくて厄落とし的な意味もあったようです。

ただし、取ってはいけない仕付けもあります。
普通仕付けは、ゾべ糸という撚りの強い絹糸で2~3cm間隔で縫います。ところが、中には2,3㎜の細かい間隔で縫ってある仕付けがあります。

この仕付けは「ぐし仕付け(ぐじびつけ)」「飾りしつけ」というもので取らずに着ます。ぐし仕付けは、生地が厚くて裏地との安定が悪い時などにする仕付けです。この仕付けをとらないということは、要は「上等アピール」です。

留袖や訪問着など格式の高い着物に施すものなのです。喪服はぐじ仕付けをする地方としない地方があります。地方によっては、「仕付けの着いた着物で葬式に出ると怪我をする」などと言い伝えられているところもあります。

ぐじ仕付けは、縫い手の腕がはっきり見える部分です。この着物はちゃんとした職人が仕立てたものだということにもなり、着物の格をあげることにもなります。

あくまで好みの問題で

私はどんな着物も仕付け糸は残さないんだ、本質的におかしいでしょっていう人もあります。留袖や訪問着などでも、なにもぐじ仕付けが必ず要るというものでもありません。あくまで、着る人の好みです。

(ライター : n.m

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