坂東玉三郎さんはホントは男っぽいかもしれない。

新春の松竹座公演は坂東玉三郎さんの舞踏公演です。今年67歳になられるはずなんですが、まるでお人形のような美しさです。

玉三郎さんは、20歳ごろにはアイドルのようにもてはやされ、デパートなどでサイン会も開いておられました。その頃は、和装よりも当時流行していたパンツスーツ姿が多く、どことなく宝塚歌劇団の男役のような印象もありました。

男性ばかりの歌舞伎の女形が、女性ばかりの宝塚の男役のように見えたのですから、何ともややこしい話です。

玉三郎さんが宝塚の女役ではなく男役に見えたのには理由があります。実は身長が173cmあって、歌舞伎俳優としては背が高いのです。長身の歌舞伎俳優というだけでも珍しい中、女形で173cmはむしろ高すぎるので、ずいぶん苦労もあったようです。

なにしろ、かつらをつけた姿で男優と釣り合いが取れなくてはいけないのですから、あらゆる場面で膝を曲げておられるのは確かです。

また、玉三郎さんは梨園の出身ではないので、その面でも苦労があったようです。そういうギャップを持ちながらも歌舞伎俳優としても舞踏家としてもずっとトップスターの位置におられるのは、美しさばかりではなく舞踏の技量が素晴らしいからです。特に海老反りの演技があまりにも見事であるため、彼の舞踏に関心を持つ人は舞踏界以外にもたくさんいます。

特に有名なのが武道家の伊藤昇さんで、「玉三郎の舞踏の美しさは胴体の強さに要因がある」ということを運動理論の本にも書いておられます。胴体、今のはやり言葉でいうと体幹のことです。玉三郎さんの踊りは、とにかくなよやかで、はかなげで、しかも所作が非常に滑らかなのですが、その原動となる要素のひとつが胴体の強さにあるという主張です。

また、もともと左利きだったものを矯正しておられるということですから、両手共相当に器用で、握力も腕力もバランスがとれているのではないでしょうか。なよやかで滑らかな動きは、実は強靭な肉体があればこそできるものだと思うのです。

なにしろ趣味はダイビングだそうですから、この見方はそんなに見当はずれでもないと思っています。

それに、性格もひょっとしたら男っぽいのかな?などと想像しています。
というのも、先般市川海老蔵さんが暴行を受けられて大事になった時にも、リポーターからマイクを向けられて「海老蔵さんに何か言うことはありますか?」と聞かれると「私は、言うことがあればご本人に直接言います。」ときっぱり。
男らしい応え方に胸のすく思いがしました。

(ライター : n.m

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