昭和のお父さんの着物

昭和のお父さんの着物

最近は着物も進化して、簡易なものやお手頃価格のものが増えてきました。
そのおかげで、ほんの少しですが、若い人たちの間で着物が復権してきているようです。

着物の通販サイトでは、着物を着るために必要なすべての品に加え、袋物、手ぬぐい、扇子が付いて2,000円以下のセット販売もあります。この他、トンビ(男性用の防寒コート)なども意外にお買い得です。これなら、若い人でも買える価格ですよね。

さて、昭和のお父さんたちは着物をどんな風に着ていたんでしょうか?
ごく身近に見られるのはテレビアニメの「サザエさん」です。「サザエさん」は昭和の30年ぐらいまではリアルタイムというか、その時代を反映する漫画です。そこに登場する波平さんこそ、昭和初期から30年代ぐらいまでの中産階級のお父さんの典型だったのです。

波平さんはサラリーマンで、会社へ行くときは背広姿ですが、家に帰ると着物に着替えます。波平さんの詳しい着替えを見たことはありませんが、一般的にはこの時の着物はウールだったり混紡だったりで、そんなに高級品ではありません。

くつろぎ着ですから長襦袢や肌襦袢などは着ずに、下着の上に直接着物を着ます。着物の襟もとからラクダ色の下着がのぞき、裾からは同じくラクダ色のズボン下がちらちらのぞくのが、昭和の庶民のお父さんのくつろぐ姿でした。

夏ならラクダが白のクレープに変わり、着物は浴衣になります。
帯は黒の兵児帯です。足元はといえばもちろん、ソックスかタビックスです。今で言えばジャージの上下の感じです。

昭和のお父さんは、たとえ休日でも電車に乗る時は背広かブレザー姿です。時には、遊びでもネクタイを締める人もありました。

昭和のお父さんは、お正月にはちょっと上等の対(つい)の着物(アンサンブル)を着ました。一時は大島紬のアンサンブルが流行しました。この時にも下着はラクダ下着に兵児帯の人が多かったように思います。襟元はマフラー、足元は下駄と黒足袋で初詣に出かけていくのです。

お父さんたちが下着まできちんと和式に整えるのは、礼装である羽織、袴の時です。この時ばかりは、肌襦袢、長襦袢、白足袋に足元は雪駄です。

今の若い男性が着物を着る時には、さすがに襟元や裾から下着が見えることなんて耐えられないとは思います。でも、街中で気楽に着物を着た若い男性をちらほら見られるようになってほしいなと思います。

(ライター : n.m