初春や 慣れぬ茶席に 花びら餅飛ぶ
ある初釜の席でのお話です。
この初釜の主催者である先生は、茶道と華道の両方を教えておられます。
年に一度、茶道と華道のお弟子さんが一堂に会するのが初釜です。
総勢30名ぐらいのお弟子さんが皆、和服の礼装です。
先生も、この日のために着物を新調されたのでした。
全員がそろったところで先生のお話が始まったのですが、先生のテンションは否が応でも盛り上がり、お話は予想外の長いものになりました。
茶道のお弟子さんは日頃から正座や和服に慣れていますから、あまり気に留める人もなかったようですが、華道のお弟子さんたちは事情が違います。
慣れない正座に耐えられずに、ごそごそする人たちが出てきます。
それでも何とか持ちこたえてお点前が始まり、お薄のお点前が始まると花びら餅が出ます。
この花びら餅は由緒のある和菓子で、初釜には決まりものとして出されるのですが、困ったことに少々切りにくいのです。
それでなくても華道チームは足のしびれで動作がぎこちなくなっています。
あっちでボトッと花びら餅が落ちたと思えば、しばらくしてこっちでは少々派手に飛んでくれました。
まるでコントのような光景に、一同こらえきれずに大爆笑でした。
1回の初釜で2回花びら餅が飛ぶなんてそうはありません。
こいつぁ春から縁起がいいわい!って思いましょう。
(ライター : n.m)