続くかどうかの見極めに
着物を着るからといって、気合の入れすぎは考えものです。成人式や結婚式なら、美容院に行って着つけやメイクをきっちり、もアリですが、普段着るときには、メイクも髪型も自然な感じにして、いつも通りの生活ができるようにしているほうがいいと思います。そうでないと、「着物はなんてしんどいんだ。やっぱり無理だ」と挫折することになってしまいます。
したがって、初心者の場合は、万が一そうなってしまったときのことを考えて着物や帯を選ぶことがとても重要になってきます。
木綿の着物ならフルシーズン大活躍
たいていの人の場合、着物への入り口となるのはやはり浴衣ではないかと思いますが、これを浴衣ではなく木綿の着物にしておくと、浴衣仕様で着るだけでなく、単衣の時期になっても、長襦袢を入れて着物仕様で着ることができます。
浴衣には馴染んでいるけれどもそこから着物に飛び移る勇気がない、という人は、無地に近い細かい柄や無地の、透けていないやや厚手の浴衣や小千谷縮みなどを買って、まず浴衣として馴染み、秋になったら長襦袢を入れて着てみます。それでイケそうだと思ったら、地味めの小紋などから始めてみるとよいでしょう。
まずはちょっとおしゃれめな半幅帯を
帯も最初からお太鼓を締めようと力まず、まずは半幅を買います。
着物に慣れないうちは、帯の苦しさが一番しんどいのではないかと思います。したがって、まずは続くかどうかを確認する意味で、正絹やちょっとしたお出かけ用の小紋でも締められる、ちょっとおしゃれめで刺繍などが入っている半幅帯を買ってみるのがおすすめです。
浴衣帯を買うときは、あまり真夏っぽいものではなく、ある程度シーズンを越えても締められるものを買っておき、冬になったら帯揚げと帯締めをして足袋を履き、ストールを巻けば完璧です。
小紋でも十分すぎるほどドレッシー
つまり、「けっこう着るかもしれない」と思ったら、そこで初めて小紋あたりをアンティークショップや着物チェーンのバーゲンなどで揃えればよいのです。
お茶などをやっている人や着物を着る職業の人はともかく、ライブ・芝居見物・デート・外食など、今まで洋服の生活の中でやってきたことを着物でもやってみたいという程度であれば、訪問着や付け下げはもちろん、色無地でさえ着る機会はほとんどないと思います。実際、世の中のファッションが徐々にカジュアルダウンしてきて、最近では能や歌舞伎の見物でもジーンズ姿の人が普通にいるようになったので、小紋を着ていれば十分すぎるほどのドレスアップ感が出ます。
あとは目的と好みに合わせて
このように、最初は普段着として着られるものを買い、その次あたりに色無地代わりに着られる江戸小紋を一枚と、少しだけ刺繍の入った塩瀬帯あたりを買えば、それでしばらくは持つのではないかと思います。
あとは、カジュアルな場面で着たいのか、あるは習い事を始めるにあたって揃えたいのかなどで必要なものは全然違ってくるので、目的と好みに合わせてそれぞれの方向に進んでいけばよいのではないでしょうか。
色無地はまだまだ先でもいいのです。