これを知らなきゃ時代遅れ!!進化する和装

駅の初詣のポスターでは着物姿の家族が微笑んでいます。テレビのニュースでは各地の初詣の様子を放送しています。

「新年を祝う人々が〇〇万人押し寄せて晴着姿の人もちらほら…」などとナレーションが入ります。
でも、映像を見ると晴着姿の人などいなくてほとんどの人がダウンジャケットや分厚いコートの人々です。

初詣は神仏に新年のあいさつをして、その年の無事を願う行為ですから、本来は礼装で参るべきものです。まあ、そんな固いことを言わなくても、単純に日本の国民的な年初の行事に着物姿がないのは寂しいものですよね。

年々着物を着る人が少なくなる理由のひとつに、着付けが難しいということがあると思います。そこでご紹介したいのが、簡易着物です。

簡易着物なんて邪道だなんて思う人もいるかもしれませんが、着物を着る人が高齢化しているのも事実ですから、簡単で着やすい着物もどんどん利用してほしいものです。

付け帯(作り帯)

皆さんよくご存じの、胴に巻く部分と背中に来るお太鼓の部分がセパレートになった帯です。初期は子供の飾り結び用でしたが、今では大人用のお太鼓や浴衣の半幅帯などバリエーションも豊富で、利用しておられる方も多いと思います。

普通の帯を付け帯に作り直してくれる呉服屋さんもあります。外出先で緩んできても、ちゃちゃっと締め直せるので安心です。

セパレート着物

こちらもおなじみの、上下が別々になった、着物型のツーピースです。普通の長襦袢の上に、巻きスカートのように下の部分を巻き付けて、その上から上の部分を普通に着るだけで、着付けは完了。裾の部分がお端折りのように見えるので、上から帯を締めれば普通の着物のように見えます。

デザインも斬新で、洋服感覚の柄やパッチワークのものまであります。最近のセパレート着物はどんどん進化していて、長襦袢不要で襟は着物本体にマジックテープで付けるというものもあります。

ワンタッチ着物

身上げをしてある着物です。子供用の着物は、お端折りの部分を縫い付けていわゆる身上げをしておき、子供の成長に合わせて身上げを短くしていきます。

大人用の着物にも身上げをして、お端折りの手間を省いた着物が開発されています。しかも肌襦袢のような下着と一体型になっていて、腰ひもが着物に縫い付けられているので着付けの必要がありません。ただ着て紐を括れば終わりです。

ただし、身上げは身長に合わせるのできちんとした採寸が必要になります。浴衣などは、あまり着丈に神経質になることもないのでとても便利です。

スーパーワンタッチ着物

この着物はもう衝撃というか、正真正銘ワンタッチです。
なにしろ、襦袢と着物が一体になっているのはもう当たり前、帯も帯揚げも帯締めも全て着物と一体になっています。

マジックテープで接着されているのです。帯結びも決して地味なものではなくて、お太鼓あり飾り結びありです。大阪の呉服店の奥様が開発して新案特許も取得しておられます。インターネットで「スーパーワンタッチ着物」で検索すれば、開発者の女性が一瞬のうちに着付ける画像が見つかります。

ごく普通の着物姿の御婦人が何やら身八口のあたりをごそごそっとして、べりっとマジックテープを外して着物の前を大きく開ければ、中はロングスカートの洋装ですから、もうほとんど早変わりの世界です。

彼女のお知り合いの高齢者の方用に発明されたそうなんですが、若い女性にも好評のようです。

また、お端折りの部分をなくしてその部分で共布の帯も作れるとのこと。急いで着付けなければならない人や、まったく着付けの知識がない人でも簡単に着物を着ることができます。

臨機応変に利用したい簡易着物

着物の魅力のひとつは、織物や染物としての生地や、刺繍、絞り染めなどの細工の素晴らしさにあります。それらの生地を簡易着物用に裁断してしまうのは少し恐ろしくもあります。また、きちんと着付けてこそ、襟元や帯などの美しさが出るもの、帯を締めて初めて気分もシャキッとするという方は多いのです。

その反面、あまりにも高価で、しかも着付けが難しいという理由で着物を敬遠する傾向はますます進んでいます。臨機応変に、うまく両方の着物を活用すると、楽な気持ちで着物と付き合えるのではないでしょうか?

(ライター : n.m

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