浴衣のスマートな着こなし方
着物は着付けを覚えることも大切ですが、それ以上に着慣れることが大切です。
冬の普段着がウールなら、夏の普段着は浴衣です。着物を着たいけど……と迷っているなら、まず浴衣から着物を始めてみましょう。夏にルームウェアとして浴衣を着れば、着付けの練習にもなるし、着慣れるよい機会にもなります。
特に、お古の浴衣があったら、家でどんどん着てみることをおすすめします。
浴衣の変遷
浴衣は、江戸時代の木綿と銭湯の普及によって一般に広まった湯上がり着です。
明治に入るまでは、浴衣の主流は紺か白で、白地を昼間に、紺地を夕暮れから夜に着るのが粋と言われていました。また、虫が藍の香りを嫌うことから、夕方に紺地を着たという説もあります。一方、白地は昼用で、家着としても着られていました。
今ではこのような習慣はなくなりましたが、白地や紺地の古典柄の浴衣はかえって目を引くようになっています。
戦後も、昭和の浴衣はまだまだ白地と紺地が主流でしたが、白紺以外の色を差した差分浴衣というのが少しずつ増えてきたようです。実際に昭和の浴衣カタログを見ると、白紺がほとんどですが、柄付けは大胆です。
カラフルに飽きたらシンプルへ
最近の浴衣は原色を使ったカラフルなものが増え、水着やアロハシャツと同化しているようなデザインです。そんなカラフルな浴衣も可愛らしいものですが、思わず振り返ってしまうような浴衣はやはり、涼しげで楚々とした雰囲気のものです。
原色に飽きたら、ぜひシンプルで大人っぽい浴衣のコーディネートを試してみてはいかがでしょうか。
浴衣にも衿芯を
浴衣はそれほど衿を抜かないとはいえ、衿が汗で首にはり付いていたり詰まりすぎたりしていると着心地が悪いし、見た目にも美しくないものです。
最近の浴衣には衿芯付きのものが増えましたが、衿芯がないときは、掛け衿の内側の片端をほどき、メッシュの衿芯を入れると、衿元のカーブがきれいに決まります。
浴衣女子の七つ道具
浴衣でのお出かけには、浴衣ならではの必需品があります。出先で困ることのないように、下記の持ち物をチェックしてから出かけましょう。
- メイクセット
- うちわまたは扇子
- 手ぬぐい
- 絆創膏
- ウエットティッシュ
- 手鏡
- ソーイングセット
特に手ぬぐいは、汗拭き・ひざ掛け・着くずれ防止と、さまざまなシーンで役立つ必需品です。絆創膏は鼻緒ずれしたときに重宝します。
着くずれのもとになる動作
浴衣が着くずれないようにするためには、次の立ち居振る舞いに気をつけましょう。
- 大股で歩く・足を組む
- 上前がずれやすい。
- 椅子に寄りかかる
- 帯がつぶれる。
- 手を上げて伸びをする
- 上半身の大きな動きは衿くずれのもと。
- 階段の昇り降り
- 上前を持たないと、裾を踏んで着崩れる。
浴衣を着物として着るなら
半衿と足袋を足して着物として着るなら、綿絽・麻・絞り・綿芭蕉・綿紅梅・絹紅梅などの浴衣が適しています。また、ポリエステル素材のもので、浴衣着物兼用として売られているものもあります。
色柄は、カラフルで大柄なものより、落ち着いた色柄のもの、アンティーク調のものを選びましょう。