その人らしさを出す着こなし
若い女性から年配の女性までがずらりと着物を着て並んで座っている姿。それは、よくお正月のテレビ番組で見かける光景の一つです。
しかし、どこか不自然に見えたことはないでしょうか?
個性を無視した画一的な着付け
さまざまな年代のその女性たちはみな違う着物を着ています。しかし、なぜかみんな同じような雰囲気に見えるのは、おそらく着付けのしかたが全員まったく同じだからなのではないかと思います。
中でも、襦袢の衿と着物の衿の重ね方や開き具合が寸分違わず同じだと、見た目が画一的になってしまいます。20代の未婚女性と40代、60代の女性とでは、それぞれ衿の開き方が違っています。
それが年齢ごとの清楚・余裕・成熟などの表現を作るものですし、顔の輪郭・肩の線・髪型・着物の種類・本人の好みによっても衿の開き方は異なり、同年代の人が5人いても、5通りの雰囲気が出るはずなのです。
着付けも既成品の時代?
しかし、テレビ局に派遣された着付け師さんにとっては、短時間に何人もの着付けをするのが仕事です。着る本人がどんな人であるかなどと考える暇もなければ要望を聞く時間もありません。
着物だけでなく着付けも既成の時代なのかと思うとちょっと寂しいものがありますが、要するに大勢を同じように着付けられたらそれで任務完了なのです。
真似と失敗を繰り返して
まだ自分のスタイルが確立できず、人に着せられてそれが似合っているのかいないのかさえ分からなくても、そのように没個性に埋もれてしまわないためには、まず映画・写真・絵画などからこうなりたいと思うお手本を見つけ、真似と失敗を繰り返していきましょう。そうすれば、自分の好みと似合うものとが自然に分かってきます。
着こなしの一番の目標は、自分のいいところを出すことに尽きます。