夏着物の素材の楽しみ方
着物には、それぞれの季節に合わせた着こなし方があります。
素材や小物を上手に使い分けて、夏の着物スタイルを楽しみましょう。
入梅(6/1〜6/15)
衣替えの季節です。洋服が夏服に変わるのと同じように、着物も袷から単衣になります。長襦袢も単衣になるので、夏を先取るなら絽縮緬の半衿をしましょう。帯揚げも地の薄い夏物になるので、体が楽になり多少の暑さにも耐えられるようになります。
絽縮緬の着物はさらりとした博多帯などが合わせやすくなります。また、雨が多くなるので雨コートも欠かせない季節です。
梅雨と夏の間(6/16〜6/30)
梅雨が本格的に始まるので、雨コートが不可欠です。その他、雨に備えて大きめの傘にしたり、草履カバーをつけて外出したりすれば移動が苦になりません。
6月も20日を過ぎ、暑さを感じる日が多くなってきたら、絽縮緬または絽の着物に絽綴れ帯や染め帯などが適しています。長襦袢も絽の半衿にすることで夏の着こなしになります。
じめじめした日が多くなるので、ウールと絹の混紡でできたポーラの着物があれば重宝します。
梅雨寒と小暑(7/1〜7/14)
梅雨が明けきらず肌寒い日も少なくありませんが、小物は夏素材のものが主になり、絽・夏紬・紗などの着物に羅織りや絽の帯が活躍します。また、浴衣に半幅帯も欠かせません。
下着には通気性のよいさらしが適しています。ガーゼ製は保温力があるので夏には向きません。さらしは汗を吸い取って撚れないので、補正もきちんと行えます。
着物のアクセントとして、扇子などの小物も上手に使ってみましょう。
盛夏(7/15〜8/20)
夏真っ盛りのこの季節には、芭蕉布や麻の上布の着物、科布やからむしの帯などを着用すると、涼しげな印象を与えることができ、外出も苦にならなくなります。
あるいは、柔らかい素材でしわができやすい麻でも、多少のしわなら逆に涼しげな雰囲気が出るので問題はありません。大胆に自分らしく着こなすのがコツです。
夏の終わり(8/21〜8/31)
秋の気配を感じるこの時期には、季節の変化に合わせて7月初旬と同じ素材が多くなります。
残暑(9/1〜9/10)
まだ残暑が厳しい時期ですが、朝夕には季節の変化を肌で感じることができます。9月10日ごろまでは夏の装いで問題ありません。
5月下旬から6月ごろの気候に似ていて、過ごしやすいのが特徴です。
7月〜8月のコーディネート
以上のことを要約すると、7月〜8月に適した着物や小物の素材は次のようになります。
- 着物
- 薄もの(絽・紗・上布)
- 帯
- 羅・紗・絽・科布
- 長襦袢
- 絽・麻
- 半衿
- 絽・楊柳・麻
- 帯揚げ
- 絽・紗
- 帯締め
- 夏冬兼用で細め、夏組
- 草履
- パナマ・からむし
- バッグ
- 竹編み・和洋兼用
9月のコーディネート
9月に入ったら、コーディネートはこのように変わります。
- 着物
- 単衣
- 帯・帯揚げ・帯締め
- 夏冬兼用
- 長襦袢
- 単衣
- 半衿
- 絽・塩瀬
- コート
- 絽・単衣コート
- バッグ
- 和洋兼用
臨機応変に調節しながら
近年では、洋服に限らず着物の場合でも、暦通りに衣替えをするとなると、「もう暑い」「まだ暑い」という違和感を覚えてしまうことが多いものですが、そのあたりは臨機応変に少しずつ調整しながら着こなしても全く問題ないのではないかと思います。