着物姿に垣間見える女心

着物は、日常生活の中でその形や着こなしが、まるで言葉のような意味や優しさを持つものです。

ただ単に体にまとっておくだけのものではない、着物の本当の楽しみを知ってみませんか?

固いガードのその内側に

普段着の着物は、豊かな感情表現を隠し持っています。女性の曲線美あふれる体を包み込む直線的な着物とそれを締める帯は、内に閉じこもろうと思えば随分と固いガードにもなりますが、その固いガードの内側には鮮やかな色柄の長襦袢をまとっていたりします。

その固いガードの隙間である衿元にふと見える首筋の美しさ、あるいはわざと着崩した衿元や裾の色っぽさといったところから、女性のさまざまな心の綾を着物は表しています。

帯の数だけ思い出がある

帯と着物の色柄の合わせ方というのは工夫のしどころで楽しいものですが、それだけのものではありません。帯には心が込められています。

もともと、帯は恋した男性から贈られるものでした。つまり、多くの男性との思い出が多くの帯に込められている、あるいは、一人の男性との多くの思い出がそれぞれの帯に込められているということもあったでしょう。

着物を楽しむ女性は、帯の数だけ夢を持っているのです。

感情を表したり隠したり

女性は袖で感情を表します。「袖を振って男を誘う」というように、振袖は、だから未婚女性のためのものなのです。

一方、女性は袖で感情を隠すこともあります。悲しい涙をぬぐうこともあります。だから留袖には、袖ぶすまにして顔を隠すだけの長さが残っています。

現在、あまり着物を着ることのない人でも、笑ったり泣いたりするときには手で口元を隠したりするものですが、これは長いこと着物の袖で感情を表してきた先祖からのDNAがなせる技なのでしょうか?

口に出せない思いを着物で

あまり着物を着ない人でも、口に出せない思いをさりげなく伝えたいというときなどには、思い切って着てみるというのもいいかもしれません。

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