梅雨時の着物
後一か月もたたないうちにつゆがやってきます。この季節の観劇や食事、「何もわざわざ着物で行かなくても」という人も多いと思います。
一方で、お茶席や結婚式などどうしても着物でないと済まない会合もあります。また、この季節ならではの着物の良さもあるのです。
下着と着付け
蒸し暑い季節、少しでもさわやかに着物を着るためにはまず下着の工夫が大切です。襦袢はうそつき襦袢が涼しいですが着物が白い色で透けるのが気になる時には襦袢の下に白いステテコもおすすめです。最近は若い人用のステテコが販売されていますが色柄物はNG。昔ながらの白のクレープが一番涼しいのではないでしょうか?
なんだかおじさんの下着のようで嫌だという方は裾に綿レースを付ければ女性用に変身します。また、衿芯を薄手のものにすれば襟元も楽になりますし見た目もすっきりします。
着物
この時期、単衣の着物を着ますが紗袷もおしゃれです。ただ、汗もかくし雨にも濡れるし、もし汚してしまった時の洗濯のことを考えると化繊が便利です。もっとも、化繊だと通気性が悪いので多少暑いかもしれません。柄行によっては、浴衣を着物にして着るのもおしゃれです。
浴衣は夕方以降の遊び着で居酒屋などでは美しいですが、レストランや劇場などでは少々ラフすぎます。最近の浴衣は、デザインが多種多様になってきましたので着物として衿を見せて、帯をお太鼓にする着方もいいのではないでしょうか?
帯
単衣帯を使います。この季節、帯結びが得意でない人ならいっそ作り帯もいいですよ。パパッと結べてしまうので汗をかかなくて済みます。古い帯を作り帯に仕立ててくれるお店も有るので、一本作っておくと腕や肩を傷めた時などとても重宝します。
雨コート
雨コートは、フルレングス式とセパレート式があります。小雨や雨模様の時には、セパレート式が便利です。でも、本格的な雨では着物を濡らさずにセパレート式を脱ぎ着するのは難しいようです。
フルレングス式の雨コートは着物よりも丈を長くしないと着物が濡れるし、かといって長すぎては余計に濡れるしで丈の調整がとても難しいのですが、着物の裾を絡げて裾を帯に挟んでしまえば丈に神経質にならなくても済みます。帯に挟むだけでは不安定なので、クリップや紐で固定します。雨コートを着たまま手早く裾絡げを下ろす技を習得しておくと人前でも雨コートの脱ぎ着が気楽に出来ますよ。
また、振袖の時には普通の雨コートを袖を折りたたんで着ればいいのではないでしょうか?帯を崩れにくい結び方にして、また少しなら自分で治せるようにしておくと上からすっぽり雨コートを着るのもそんなに怖くなくなります。
正絹の雨コートは見た目も美しく魅力的ですが、少々重いしたたんだ時にはかさ高くも有ります。その点化繊の薄手のものなら軽くて気分的にも楽です。雨コートはたたんで持ち歩かなければならない場合もあります。出来るだけ、軽くてかさの低いものがおすすめです。
替え足袋
雨の日には必ず替えの足袋を持っていきましょう。濡れた足袋では、草履を脱いで畳や板の間を歩くわけにもいきませんし、また不快でもあります。
雨傘
和装用の傘と言えば蛇の目傘になりますが、蛇の目傘の場合持ち方や置き方が洋傘とは違います。洋傘は柄の部分を上にして持ったり置いたりしますが蛇の目の場合には柄の部分を下にします。和傘は一般的な傘立てには置きづらいのです。ですので、劇場やレストランなどへ出かける時には洋傘の方が便利です。
梅雨の時期は明るい色合いの傘が気分を晴れやかにしてくれます。といっても、あまりに着物とかけ離れた色柄ではせっかくの着物も台無しですから、和装に合いそうな傘を一本用意しておくと急な雨でも迷わなくて済みます。雨ゴートを脱いだときに、絹物の着物を傘で濡らさないように気を付けて下さい。
履物
雨の日の履物といえば爪皮つきの雨下駄です。雨下駄は普通の下駄よりも歯が高く音もカランコロンという感じては無く、少し落ち着いた音がします。とても風情のあるものなのですが、最近の劇場やホテルなどでは下駄では歩きにくいのでもし雨下駄で出かけるのなら替えの草履が必要になります。
小雨程度で短時間だけなら、普通の草履に雨カバーだけでも大丈夫ですが、本格的な雨の日には雨草履に草履カバーを使いましょう。それでも、礼装ならやはり礼装用の草履を持って行かなければなりません。
雨の日バッグ
とにかく持ち物が多くなります。時には、雨コートをたたんで持ち歩く場面も出てきます。雨の日には、撥水性のある大きめのトートバッグがおすすめです。また、風呂敷やビニール袋、厚手のハンドタオルなども用意しておきましょう。
着物を脱いだ後
雨コートを家の外で脱いで、ベランダなどで乾かします。履物、傘など全てベランダで陰干しすると家の中まで湿気を持ちこむことが無くなります。絹の雨コートの場合はベランダで洋服ハンガーで陰干しって少々不安ですよね。でも化繊なら気楽です。
ただし、あくまで陰干しです。着物も、出来る事なら除湿機が有る部屋で着物ハンガーに吊っておきましょう。襦袢も帯もすべて吊っておきます。そして、晴天の日を待ちましょう。
もし、泥汚れを付けてしまった時には、その場はそのままにして後日、しっかり乾燥してから取り除きましょう。晴天の日、一日陰干しをしてから汚れのチェックをして多当紙にいれてタンスに仕舞います。基本、タンスは雨の日は開けてはいけません。
ですから、着物を着る予定がある時には、晴れた日に着物一式タンスから出しておきます。
(ライター : n.m)