衿周りのおしゃれ

着物の小物は上半身に集中します。半衿、帯揚げ、帯、帯締め、帯留め、羽織紐などおしゃれポイントが全て胸に集中するのです。

おしゃれな半襟、高価そうな帯、個性的な帯締め、あれもこれもと重ねていくのはナンセンスです。

どれかひとつにおしゃれポイントを決めて、他のものは大人しいものにした方が印象的で上品なおしゃれが楽しめます。

半衿

半襟の本来の目的は、おしろいや整髪料、首回りの皮脂から着物を守ることです。つど取り外しては洗濯をして、また付けるのが原則です。その用途から考えると、素材は綿やポリエステルがふさわしいでしょう。

着物姿全体から見れば小さな小物ですが、顔に近い部分にありとても目立つため、意匠に凝る人も多いようです。中には数十万円もするようなものもあり、「半襟だけは汚すわけにはいかない」などということもあります。

半襟の素材

半衿の素材は、基本的には正絹、化繊、交織、麻、綿の5種類あります。半襟本来の目的は、着物を汚れから守る、いわば衿カバーです。その目的からいうと、洗濯に強い化繊が最も便利です。しかし、最近では礼装、おしゃれ着として晴れがましい場所で着物を着ることが多いため、正絹のものが多く普及しています。

正絹の半襟は見た目に高級感がありますが、洗濯に弱いことと経年で黄ばみが出るのが欠点です。夏向けの素材としては麻が肌触りもさわやかでお勧めです。麻は水に強い素材で度々洗濯してもあまり傷みません。ただ、しわになりやすい素材なのでまめにアイロン掛けしなければなりません。

着物好きの人の中には手ぬぐいを半襟にして楽しむ人もあります。

半襟の織り方

基本になる織り方は塩瀬、ちりめん、絽の三つです。それぞれに、正絹のものと化繊のものがあります。着物の格や季節によって使い分けます。

半襟の意匠

よく使われるのは、白の無地です。中でも最もよく使われるのは白無地の塩瀬で、カジュアルでもフォーマルでも使え、着物姿全体をキリッ引き締める効果があります。昔は色物が主流でしたが、昭和初期にぜいたく品を規制する法律ができてからは白が主流になりました。

最近になって色物が復活し、淡い色無地のもの、濃い色無地のもの、染め模様があるもの、白地に刺繍を施したもの、色物に刺繍を施したものなど、様々なデザインのものが出回っています。また、特殊なものとしては、ビーズ刺繍のものもあります。夏用にレースの半襟も販売されています。

男性の半襟は礼装の時には白が多く使われますが、礼装以外では黒、紺が最も多く、それ以外には、深緑、茶など渋い色が好まれるようです。

半衿の付け方

普通は長じゅばんの襟を覆うように縫い付けます。

しかし、最近は手間を省くために両面テープ、マジックテープなどを使う人もいます。両面テープは手軽なのですが、外した後、生地に接着剤が残るのが欠点です

。中にはホッチキスや、スーパーなどのタグつけ用の器具を使用する人もいます。このような器具を使うと手軽ではあるのですが、生地に細かな穴が開いてしまうので、高級なものに使用するには勇気が要ります。

半衿芯

半衿はそれ自体は一枚の布ですから硬さはありません。襟元をキリっと引き締めるために、長襦袢に付けた半襟の中に衿芯をいれます。一般的には、差し込み芯が使われます。

襟元をふっくら見せたい場合には柔らかく厚めのもの、ピシッと締めたいときには固めのものにするなど、好みや体形、着物の種類などに合わせて選びましょう。

半襟のコーディネイト

女性の留袖、訪問着、男性の紋付羽織袴など、いわゆる正装には白無地、または白に白刺繍、金銀刺繍がある半襟を使います。附下げなどの略礼装では、白無地、淡い色物、刺繍がある半襟も使います。

小紋や紬などにも、白無地、色無地、柄物などを使いますが、印象としては、色が濃くなるほど遊びの要素が強くなります。かしこまった席では白無地か淡い色無地が無難です。観劇や同窓会など個性的な装いが映える場所では濃い色や柄物、夜の席ならビーズ付きのものがおしゃれ感が高まりますが、あまりにも華美なものは折角の着物の品が落ちてしまいます。

麻や絽の半襟は夏物ですから、6,7,8月限定です。振袖の場合には、礼装として着る時には白無地、白に金銀刺繍、パーティードレスとして着る時には色物や刺繍、ビーズ飾りのあるものを使います。ただし、赤の半襟は十代のみと心得ておきましょう。

衣紋抜き

着物姿の美しさの代名詞的になっているのが襟元、特にうなじの美しさです。うなじから首の線を美しく見せるためには、きれいに衣紋を抜くことが大切です。ところが、着付けた時にはきれいに抜けていた衣紋も時間が経つにつれて詰まってしまうことがよくあります。

特に、現代女性の体形は肩幅が大きくなり、衣紋を美しく保つのが難しくなっています。そこで便利な小物が衣紋抜きです。若い女性は衣紋を浅めに抜き、年齢が高くなると大きめにぬきます。抜き過ぎると下品に見えてしまいます。衣文抜きは衣文のぬき方を固定して襟元を美しく見せる小物です。

伊達衿

重ね衿とも言います。着物の襟に沿わせて見せる衿のことで、着物の品格を高めたり、さし色にしたりして楽しみます。伊達衿にも、柄物や刺繍を施したものなど色々なデザインがあります。

(ライター : n.m

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